小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトは2000年にスタートし、毎年1本(おそらく春に)オペラ公演が行われています。このプロダクションの素晴らしさやゴージャス感をどのように伝えたら良いのだろう?と思ったのですが公式サイトに見事にまとめられておりました。
国内外でのオーディションで選ばれたアジア諸国(⽇本、中国、台湾、韓国)の若い⾳楽家たちでオーケストラを結成し、⼩澤征爾とサイトウ・キネン・オーケストラメンバーをはじめとする演奏家のもとで指導を受け、分奏や歌⼿とのリハーサルを重ねながら、世界の歌劇場で活躍するオペラ歌⼿や演出家と共に⾼⽔準のオペラ「⼩澤征爾⾳楽塾オペラ・プロジェクト」を創り上げます。
2004年のオペラ『ラ・ボエーム』にはあの世界的ソプラノ歌手アンナ・ネトレプコの名前も…!こういった有名歌手が来日するのも小澤さんのパワーだと思います。もちろんこのプロジェクトの理念が素晴らしいこともありますが、「マエストロOZAWAに頼まれたら行くしかないな!」という人徳があるに違いない と勝手に解釈しています(笑)
僕は2016年のオペレッタ『こうもり』から参加させていただいていますが、最初の年はもうその現場に漂う”プロ感”にただただ圧倒され、なんとか稽古についていくことで精一杯でした。その頃の僕は学部を卒業し研究科の1年生。ようやく自分が何を勉強すればいいのか朧げながら見えてきた時期だった気がします。その年の冬に急遽出演することが決まったので、
オペレッタ名古屋公演→翌朝新幹線で戻って研究科のオペラ発表の最終リハーサル→翌日オペラ発表本番→オペレッタ東京公演
のような、なかなかタイトなスケジュールだった記憶があります。ちなみに忙しい方が調子が良いです。
小澤征爾音楽塾の稽古に行って驚いたことは指揮者が2人いたことです。これはおそらく数年前に小澤さんが体調を崩されたのでそれを考慮した措置だと思うのですが、本番を2人の指揮者が振るオペラ公演というのはとても珍しいと思います。しかも1幕は小澤さんで2幕はもう一人の方、というわけではなく曲ごとに振り分けられるため、常に指揮台には2人の指揮者が…!正直見づらい!(笑) というのもオペラ歌手は舞台上で演技しながらチラリと指揮者を盗み見ることになるので、その瞬間に指揮者が2人いると慌てます。しかも小澤さんは自分の振る番ではないのにちょこっと手を動かしている!!!かわいい…!しかしその手は止めてくれぇ!いやぁ、そういった一つ一つのことが本当にチャーミングな方なんですよね。ちなみにこの指揮者2人状態も2年目になると慣れました。人間の順応力、すばらしい。
次回はそんなチャーミングな小澤さんの楽屋に呼び出された話。をするかも。