今日は小澤征爾さんの誕生日だそうで、おめでとうございます。毎年夏は長野県松本でセイジ・オザワ松本フェスティバルという音楽祭が行われていて、僕も3年連続で参加させていただいていましたが、今年は中止ということで残念でした。松本は標高が高いので日差しが強く、「焼かれている!」と実感するほど肌がチリチリします。でも湿気が少ないのと朝夕は涼しいのでとっても爽やか。あー恋しい松本。湧水。温泉。そば。馬肉。来年は開催されますように。
そのフェスティバルでは9月最初の週にオペラ公演が行われることが多いので、9月1日はリハーサル真っ只中。会場にいらっしゃった小澤さんに全員でハッピーバースデイを歌うのが恒例となっていました。音楽家の大合唱、そしてオーケストラの演奏はとても豪華です。僕の誕生日は12月の暮れも暮れなので冬休み&クリスマス後&お正月前でなんとも流れてしまいがちな日取り…。9月1日って良いですね。学校が始まる日だから同級生にも祝ってもらえるのが羨ましいです。脱線ですが『オペラ歌手100人と歌う【ハッピーバースデイ】』という動画を制作しました。誰かをお祝いしたい!でも歌は苦手…という方はぜひこれを流しながら歌ってあげてみてはいかがでしょう?
小澤征爾さんとの初めての出会いは2016年に出演した小澤征爾音楽塾オペラプロジェクト『こうもり』のリハーサルだったと思います。トレードマークの赤い服を着て稽古場に現れた小澤さんは気さくなおじさんという雰囲気。でもお付きの人が何人もいらっしゃったので、もし小澤征爾を知らない人が見ても「タダ者ではないな…!」と感じたと思います。小澤さんはこのプロダクションの意義を英語で海外キャストに説明すると突然腕を上げ指揮を始めました。「え?いきなり!?」と思っていると、全く動じず演奏を始めるピアニストそして歌手陣。「プロだ!!!!!!!!」僕は度肝を抜かれました。(今考えると英語がよくわからず話について行けてなかったから突然始まったように感じたのかもしれません。笑)そしてその手の先指の先から引き出される音楽は本当に素晴らしくて、その魅力をどういう風に伝えたら良いのでしょう。指揮者は音を発するわけではありません。しかし小澤さんの指先からは確かに音楽が聴こえてきて、僕たち演奏家に道を示してくれるのです。この経験は本当に感動的です。導かれるというのはまさにこのことで、「ここはこういう音楽なのか」と一つ一つ腑に落ちていくあの時間は、指揮者という存在の重要さを感じた瞬間でもありました。
音楽塾のことや、小澤さんが指揮棒を持たないことなど、話はまだまだつづく。