カメラもマイクも案の定まだ買えていないので、今日は泣く泣く文章です。
どうにも決め手にかけるんですよね、カメラ。SONYの4Kビデオカメラの映像がとても綺麗だったので気持ちはそちらに靡いています。外付けマイクを付けなくても十分な音質で録れれば良いんですけど。演奏の撮影をすることも考えるとやはり外付けマイクに頼るしかないのでしょうか。今月中に新しいベストな機種が発表にならないかなぁ~と心待ちにしています。
さてさて、オペラの指揮者の話。
オペラの稽古というのは本番日の大体2〜3ヶ月前に始まります。そして本番2週間前くらいになるとほぼ毎日稽古があります。ただこれはプロダクションによって様々なので、どれが正解ということもありません。1年前からゆるりと稽古をスタートさせるところもあれば、直前1ヶ月で一気に詰め込む場合もあります。僕は『一旦寝かせる時間』が欲しいので長期スパンでゆったりとリハーサルが行われる方が好きです。時間をおくことでそれまでとても苦労した箇所がびっくりするほどなんなく歌えたりします。睡眠学習というやつでしょうか?忙しい現代においてじっくりと時間をかけて取り組むプロダクションに出会うことは稀なので、そういう企画に関われた時は幸せです。
オペラが上演されるまでの流れはこんな感じになっています。
【音楽稽古→立ち稽古→オーケストラ合わせ→衣装付き舞台稽古→最終リハ→本番】
今日は音楽稽古について。
文字通り”音楽の”練習です。指揮者のリードのもと、今回の演奏をどのようなものにしていくのか、ディスカッションを重ねながら稽古は進行していきます。この音楽稽古の初回が初顔合わせになることも多いので、めっちゃワクワクするんですよね。「この人はどういう声なんだろう?」とか「あの2人がハモるの聴くのが楽しみ!」とか。それ以上に「今回の指揮者さんはどういう風にこの音楽を作っていくのか」が気になります。
ただ指揮者が忙しい人気者だったりすると、序盤の稽古には来ないことも。そうなると『副指揮者』という立場の人が登場します。
この副指揮者さん。音楽稽古の序盤を担当したり、メインの指揮者(本指揮者)が稽古で伝えきれなかったことを歌手に伝言したり、ホールでの響き方を聞いて本指揮者に伝えたり、かなりの何でも屋さんです。オペラには『バンダ』といって、前回お話ししたオケピではなく、舞台の袖で演奏するミニオーケストラが必要なことがあります。そのバンダを指揮するのも副指揮者さんのお仕事。本指揮者の前に置かれたカメラから送られてくる映像に合わせて指揮をするのですが...
こーれが大変!映像に合わせて指揮をするだけだとどうしても遅れてしまうので、ほんの少しだけ先読みする必要があるのです。本指揮者が魔法使いのような指揮をする人だったらさーらに大変!独特のタイミングで急にゆっくり振る人とか、この世界には魔法使いが何人もいます。「心臓にわるい…」と仰ってる副指揮者さんもいました。それでズレると怒られるのは副指揮者さんですから、ほんと大変ですね。
しかし現場にいて思うのは、この副指揮者さんの能力、『旨さ』でプロダクション全体の演奏クオリティが確実に変わるということ。人気者の本指揮者だって万能ではないし時間も有限です。何十人、何百人となる演奏者全員に細かく指示を出すことは叶いません。そこをいかにうまく調整するかが副指揮者さんの腕の見せ所。本指揮者の意図を汲みとり「かゆいところに手がとどく」フォローが出来るかどうか。オペラの大切な要素の一つだと思います。