指揮者には色々な人がいます。
「オレの棒について来い!」的な人もいれば「みんなで仲良く音楽つくっていきましょ」的な人もいて、もちろんやり方にたったひとつの正解というものはありません。ただ演奏者との相性はあるのでオラオラな歌手とオラオラな指揮者のタッグだとある意味バチバチな演奏になります。名指揮者として有名なヘルベルト・フォン・カラヤンが活躍した時代には前者のような指揮者が多かったように感じますが、最近は後者が主流です。言葉遣いも丁寧な方が多く、ワンフレーズ練習するごとに「ありがとうございます。何度も歌っていただいてすみません。ここはですね〜」と言われたりします。正直僕はそこまで丁寧じゃなくても…と思ったりしますがオレ様指揮者さんに比べて場が穏便に進むことは間違いないです。
指揮棒を振るテクニックも人によって違いますし、前にも話した通り棒を持たない指揮者の方も一定数います。棒の長さや素材も色々あり専門店に行くと持ち比べが出来る様になってます。しかし専門店といっても楽器屋さんの一角なので、ハリー・ポッターに出てくるオリバンダーの杖の店のような雰囲気はありません。映画みたいに持った瞬間に杖との相性がわかったら楽しいですね。そもそも指揮棒が現在のような形になり始めたのは1800年代のことでそれより前は床につく杖でした。それを使って床を鳴らしリズムを取っていたんですね。けっこう音楽の邪魔になるような気がします。だから現在のような形になったのかもしれません。
指揮をする作品にとてもこだわりを持つ人も多いです。なんでもかんでも振るのではなく、自分が本当に共感出来る作品だったり納得出来るまで勉強したものしか振らない指揮者は多いです。そういった曲のことをレパートリーと言います(ex.「レパートリーが多い指揮者だね」や「レパートリー増やそうと思ってさ」などなど)。指揮者ではなく一般の方のお話なのですが、マーラーの交響曲2番が大好きだったのでその曲だけ指揮が出来るようになり世界的なオーケストラと共演したという強者がいたとかいなかったとか。あとこれは人気指揮者の話ですが、なかなか表舞台に姿を現さない天才だったので「あいつは冷蔵庫が空にならないと指揮をしない」と言われていたとかいなかったとか。その人気指揮者はレパートリーが少なかったのですが、残された幾つかのCD・DVDは本当に素晴らしくて、きっと冷蔵庫を満タンにするために頑張っていたのだろうなと思います。カルロス・クライバーという僕が一番好きな指揮者です。